70歳まで就業機会確保は4社に1社

 厚生労働省より令和3年「高年齢者雇用状況等報告」(6月1日現在)の集計結果が公表されました。その中で2021年4月から改正高年齢者雇用安定法が施行され、65歳までの雇用確保措置の義務に加え、70歳まで就業機会を確保する措置(以下、「就業確保措置」という)の努力義務が定められ、この就業確保措置の努力義務に対応した企業の状況を確認することができます。

[1]就業確保措置とは
 就業確保措置としては、以下の1~5のいずれかの措置を講ずることが企業の努力義務とされています。65歳までの雇用確保措置と異なり、直接雇用だけでなく、業務委託契約など直接雇用をしない形で、70歳まで就業できる機会を与えることも措置に含まれています。

 1.70歳までの定年引上げ
 2.定年制の廃止
 3.70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
   ※特殊関係事業主に加えて、他の事業主によるものを含む
 4.70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
 5.70歳まで継続的に以下の社会貢献事業に従事できる制度の導入
   ・事業主が自ら実施する社会貢献事業
   ・事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業

[2]就業確保措置の実施状況
 今回の集計結果では、報告した全企業の中で、就業確保措置が実施済みである企業は全体の25.6%となっています。企業規模別では、中小企業では26.2%、大企業では17.8%となっており、大企業より中小企業の方が、対応が進んでいることが特徴です。
 また、就業確保措置の内訳を全体でみると、70歳までの定年引上げが1.9%、定年制廃止が4.0%、継続雇用制度の導入が19.7%、創業支援等措置の導入が0.1%となっています。  企業規模別では、21~30人の規模では、定年制廃止が占める割合が他の企業規模に比べて高くなっています。これは、特に中小企業においては人材確保が難しく、働くことができるうちは働いて欲しいという思いや、従業員個別に対応することが可能であるといった要因が推測されます。
 将来における人材確保の観点から、65歳以降の人材をどう活用していくか悩まれている企業は少なくないでしょう。今回の集計結果なども参考にしながら、検討を進めましょう。