入社月に退職した場合の社会保険料の取り扱いはどうなるの?(同月得喪について)

 同月得喪とは、同じ月に社会保険(健康保険・厚生年金保険・介護保険)の資格取得と資格喪失が発生することを言います。入社してすぐに退職してしまった場合にこのようなことが起こります。同月得喪の場合、社会保険料の取り扱いが通常とは異なるので注意が必要です。同月得喪が発生した場合の手続きと社会保険料の取り扱い方法について説明します。

①社会保険料の基本的な考え
 社会保険料が発生するかどうかは、原則として月末時点で被保険者資格があるか(会社に在籍しているか)で判断します。月末退職の場合は、退職月の分の社会保険料まで発生しますが、月末よりも前の日(月の途中)までに退職すると退職日を含む月の社会保険料は発生しません。しかし、資格取得と資格喪失が発生する同月得喪の場合には、例外的な対応が必要になります。

②同月得喪のときの社会保険料の取り扱い
 同月得喪の場合、前記した「月末に在籍しているかどうか」に関わらず、例え月の途中に退職したときでも1箇月分の社会保険料が発生します。社会保険料には、日割り計算という考え方がありませんので社会保険の加入要件を満たし、月内に1日でも被保険者として在籍すれば1箇月分の社会保険料が発生することになります。社会保険料は会社と職員で折半負担ですから、同月得喪のケースでも会社負担分と職員負担分がそれぞれ発生することになります。

③厚生年金保険料は手続きをすれば還付される
 厚生年金保険料は、保険料の二重払いを防ぐ目的から同月得喪により資格喪失をした同月内に他の年金制度の資格取得手続きを行うことで還付されます。厚生年金保険の資格を喪失した後、再就職をしなければ国民年金保険へ資格変更が必要になります。退職をした元職員本人が国民年金保険等への資格変更の手続きをした後、会社あてに会社負担分と職員負担分を合わせて還付されます。ですから、会社としては職員の退職時に「退職後、速やかに国民年金保険等の手続きを行うこと」「そうすれば厚生年金保険料は還付されること」を伝えておきましょう。還付された厚生年金保険料は、給与振込口座に振り込むこと等も合わせて伝えておくとよいでしょう。

④健康保険料・介護保険料は還付されない
 同じ社会保険料でも健康保険料・介護保険料については還付されないので注意が必要です。同様に雇用保険料も還付されません。還付された社会保険料を元職員へ返金する流れの中で「厚生年金保険料」のみ、返金が発生することに注意してください。

⑤雇用保険と源泉所得税の取り扱い
 雇用保険料は、原則通り支給した賃金に対して計算した金額を控除します。源泉所得税については、社会保険料の控除額によって金額が変わりますので、初めから社会保険料が還付されることを考えて計算を行うか還付されたときに再計算を行うかを検討しておきましょう。

⑥退職後も連絡を取れるようにしておく
 同月得喪のようなケースでは、入社して間もなく突然来なくなってしまうようなことも珍しくありません。数日間しか働いていないような場合、日割り計算した給与より社会保険料の方が多くなってしまうこともあります。そうすると職員に社会保険料分の入金を依頼しなくてはならないこともあるでしょう。会社としては、日ごろからこのようなケースも想定して職員との連絡手段を考えておくようにしてください。同月得喪が発生したとき、職員に対してどのように案内をして、会社としての対応はどうするのか、あらかじめ考えておくことをおすすめします。